最近、若者の間で流行している「バーチャル恋人」サービス。スマホやパソコンで恋人とのやりとりを楽しめるというものだ。しかし、このサービスの裏側には驚くべき事実が隠されていた。実は、バーチャル恋人とやりとりしているのは、全て高齢者ボランティアだったのだ。
このサービスを運営するのは、NPO法人「シニア・コミュニケーション」。同法人は、高齢者の孤独や社会参加を防ぐために、様々な活動を行っている。その一つが、「バーチャル恋人」サービスだ。
「バーチャル恋人」サービスでは、高齢者ボランティアが若者のプロフィールや趣味に合わせて、恋人役を演じる。メールやチャット、電話などで、日常的な会話や甘い言葉を交わす。若者は、自分に合った恋人を選ぶことができる。料金は月額3000円から。
同法人の代表である山田太郎さん(70歳)は、「若者も高齢者も孤独な世代です。バーチャル恋人としてやりとりすることで、互いに心の支えになれると思います。高齢者ボランティアは、若者の気持ちに寄り添い、優しく接します。若者は、高齢者ボランティアの経験や知恵を学ぶことができます」と語る。
このサービスを利用している若者の中には、高齢者ボランティアが担当していることを知っている人もいる。Aさん(25歳・男性)は、「最初は気づきませんでしたが、ある日、バーチャル恋人から『昭和の歌謡曲が好き』というメールが来ました。そこで気づきましたが、それでも関係は変わりませんでした。むしろ、年代を超えた会話が楽しいです」と話す。
一方、高齢者ボランティアの中にも、このサービスに満足している人が多い。Bさん(68歳・女性)は、「私は夫と死別してからずっと一人暮らしです。このサービスに参加してから、生きがいができました。若者と話すことで、自分も若返った気分になります」と笑顔で語る。
「バーチャル恋人」サービスは、孤独な世代同士が心を通わせる新しい形のコミュニケーションだ。架空の恋愛ではあるが、本物の感物の感情が芽生えることもある。しかし、このサービスには落とし穴もある。実際に会うことはできないし、相手の正体も分からない。また、高齢者ボランティアにとっても、若者の気持ちに応えることは負担になることもある。このサービスを利用する際には、注意が必要だ。