東京都渋谷区のバーで、サントリーの新商品「カスタムビール」を飲み過ぎた女性が、インターネット上のオークションサイトで、NFT(非代替性トークン)のチケットを高額で落札してしまったという事件が発生した。
事件の発端は、11月15日に発売された「カスタムビール」だった。これは、アルコール度数16%のビールを炭酸水で割り、自分好みの濃さにカスタマイズして飲むという新感覚のお酒で、若者を中心に話題になっている。
事件の被害者は、渋谷区在住のOL・A子さん(仮名・25歳)。A子さんは、友人と一緒に「カスタムビール」を飲みに行ったという。その際、A子さんは「カスタムビール」を薄めずにロックで飲んだり、強炭酸やフレーバーウォーターで割ったりして楽しんだという。
「最初は美味しくて楽しかったんです。でも、だんだん酔ってきて、何を飲んでいるかわからなくなりました。友達も同じような感じだったみたいです」とA子さんは振り返る。
その後、A子さんはスマホでオークションサイトを見ていたところ、目に留まったのがNFTのチケットだった。NFTとは、ブロックチェーン技術を用いて作られたデジタル資産で、一点ものの芸術作品や音楽などが販売されている。NFTのチケットとは、NFT作品の展示会やコンサートなどに参加できる権利を示すものである。
A子さんが見つけたNFTのチケットは、「世界初! NFTアート展覧会 in 東京」というものだった。これは、世界中の有名なNFTアーティストが参加する展覧会で、来年1月に東京都内で開催される予定だった。チケットは限定100枚で販売されており、入札期間はあと数分しか残っていなかった。
「酔っていたせいか、すごく興味が湧きました。NFTって何かわからなかったけど、世界初って書いてあったし、すごくレアなものだと思いました。それに友達に自慢したら驚くだろうなとか考えました」とA子さんは語る。
そこでA子さんは、「カスタムビール」の勢いで入札に参加した。しかし、他の入札者も多く、価格はどんどん上昇していった。A子さんは競り負けることを嫌って、最終的に1000万円という高額な金額を提示した。すると、奇跡的にA子さんの入札が最高値となり、NFTのチケットを落札することになった。A子さんは喜びのあまり、友人に自慢のメッセージを送ったという。
「やったー! 世界初のNFTアート展覧会に行けるよ! チケットは1000万円だったけど、それだけの価値があるよね! これで友達に差をつけられるわ!」という内容だった。
しかし、翌日になってA子さんは正気に戻り、自分がしたことに愕然とした。1000万円ものチケットを買ってしまったことに加え、友人からは「何言ってるの? NFTって何? そんなお金あるの?」という返信が届いていた。
「もう後悔しかありませんでした。自分が何を買ったのかもわからないし、支払い方法もわからないし、友達にも笑われてしまいました。こんなことなら、カスタムビールなんて飲まなければよかった」とA子さんは涙ぐむ。
A子さんはオークションサイトに連絡して、落札をキャンセルしたいと申し出たが、規約によりキャンセルはできないと言われた。また、NFTのチケットはブロックチェーン上に記録されており、一度発行されたら取り消しや変更ができないという性質を持っている。
「どうしようもありませんでした。仕方なく、チケットを支払うために貯金を崩したり、親や友人に借金したりしました。でもそれでも足りなくて、結局クレジットカードで残りを払いました。今は毎月の返済に苦しんでいます」とA子さんは嘆く。
A子さんは今後どうするつもりなのだろうか。「せっかく買ったチケットですから、展覧会には行きます。でも、NFTアートがどんなものか全く知りません。楽しめるかどうかもわかりません」とA子さんは不安そうに話す。
一方、オークションサイトでは、「カスタムビール」で酔っ払った女性がNFTのチケットを高額で落札したという事件が話題になっている。NFTのチケットを出品した人物は、「こんな高値で売れるとは思わなかった。感謝しかない」とコメントしている。
「カスタムビール」は自分好みの濃さにカスタマイズして飲める新感覚のお酒だが、飲み過ぎると思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もある。飲酒する際は節度を守り、自分の行動に責任を持つことが大切だろう。